想いを込めて(FF16)

想いを込めて

クライヴとバイロン叔父さん、インビンシブル拠点メンバーとのほのぼの話。
最後がクライヴ→ジルぽいものです。



シド、ちょっといいですかと大方内容は本に載っている変わった調理法をメイヴやモリーと共にまた見つけて珍味ともとれる食材を取りに行って欲しい依頼だろうと予想をつけてどうしたんだとイヴァンの呼びかけに応える。
フーゴに捕らえられ無事に帰還はしたものの身体的にも精神的にも負担がかかり具合を崩したジルの見舞いをタルヤの医務室にて済ませてから皆の気分が少しでも晴れるようにとエールを振舞った最中。
「シドはロザリスでは女性とよく過ごされていたのですか?」
かなりずれたことを尋ねられた。
「…急にどうした」
「いえ、本を広げながら食材探しでメイヴと盛り上がりまして。メイヴがシドは食材に関してもかなり知識があると述べていたものですから。ジルさんからも一緒に買い物へはよく行っていたとも聞いて。ジルさんはそれほど調理には手を付けなかった様子で、となると他の女性との交友も深かったのではと…」
(ロザリスにいた侍女たちから教えてもらったこともあるが…)
そのことを伝えて会話を切り上げよう。
「ああ、それなら―「お、なんだなんだシドの過去の女の話か」
すっかりぐでんぐでんになっている保護されたベアラーのひとりが急に会話に割り込んで来たのだ。
「ん?やっぱりモテていたんだなあ」
「ちょうど年頃だったんだろう?同い年くらい娘たちが寄って来たんだろうな〜」
「元々シドは良いとこって聞いたことがあったなあ、そりゃ放っておかないよなあ」
他にもラウンジ内ですっかり出来上がっていた彼らがわらわらと取り囲んでくる。
悪気はなく、これは黄昏もはや朽ち果てていくだけのかつての故郷を見送ることになったクライヴの想いが沈んだままにならないように彼らなりの気遣いなのだ―とは言い難い明らかに楽しんでいる状況である。
5年前オットーがノースリーチに足を運ぶ際に協力者となるマダムはとびっきりの美人だから惚れるなよとからかうつもりでクライヴに語ると、彼の反応がそうかとあまりにも淡泊だった為にからかいがいのない奴だな…と呆れられた。ラウンジでくだを巻いている彼らも似たようなものだろう。
「あら、何?クライヴの初恋の話?」
「あ−ら、いいのかい。ジルに言い付けても」
調理場にて下ごしらえを終えたメイヴや補給を確認しようと通りかかった倉庫番のオルタンスまで加わってくる。
「おっ、騒がしいと思ったら面白いことになっているじゃねーか。ちょうどいい機会だクライヴ、この際白状しちまえよ」
ハルポクラテスにトルガルのことを確認して階段から降りてきたガブまで楽しそうな雰囲気に乗っかってきた。
「ちょっと待ってくれ。俺にそうした相手はいなかった。
ジョシュアのナイトとしての道を歩んいた真っ只中で―」
慌てずに早めにこの話を切り上げようとすると。
「でも、向こうはその気があったのでは?
シドが気づいていなかっただけで。声を掛けて来たお相手はもしかしたら―」
「おおー、いいぞイヴァン!」
「そうだ、そうだ!おい、ルカーン。一曲何か歌ってくれ!せっかくの機会だしな!」
盛り上がっている状況では普段大人しいイヴァンや詩人のルカーンもすっかり乗り気となり明るい演奏がサロン内に響いていく。
「おお、どうした。騒がしくて楽しそうではないか」
流通の話をカローンとしていたバイロンが可愛い甥っ子を取り囲んでいる拠点の彼らの明るい様子ににこにこと笑顔を浮かべながら歩み寄ってくる。
「バイロン叔父さん。そうだ、叔父さ
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